■「かしわ」といえば鶏肉?植物?
皆さんは「かしわ」というと何が思い浮かびますか?
私はすぐに鶏肉が思い浮かぶのですが、以前、関東に住んでいる友人と雑談していたときに、「かしわって柏餅とかの、植物の“かしわ”じゃないの?」と言われて、小さなカルチャーショックを受けたものです。西日本では鶏肉のことをよく「かしわ」と呼ぶのですが、関東より北ではあまり使い慣れない言葉のようですね。
私は九州(福岡)育ちなのですが、私の周りの居酒屋・やきとり屋のメニューには「もも」の代わりに「かしわ」が載っていることが多いです。北九州市の折尾駅には有名な「かしわめし」という駅弁がありますし、とても身近で一般的な呼び方です。(かしわめしはとても美味しいですよ!)
■かしわの語源はやっぱり色?
当サイトの「鶏とやきとりの歴史」でも少し触れてあるのですが、かしわの語源は3つほど説があります。
1.色から柏の葉を連想させた
2.鶏の羽ばたきが『かしわ手を打つ』姿と似ている
3.朝廷の中の『膳部(かしわべ)』という料理方の部署から由来する
勿論どれが正解ということは言えないのですけど、他の肉の例をあげると、猪を「ぼたん肉」と呼んだり、馬を「さくら肉」と呼んだり、鹿を「もみじ肉」と呼んだりするので、色を元に名付けられたという説が有力に感じますね。
辞書でも「かしわ(黄鶏)」と書かれていることが多々ありますし。
■かしわって昔は共通語?
ところで「かしわ」は今でこそ鶏肉一般の名称ですけど、元々は褐色の羽色の、日本在来種である和鶏の名前だったようです。
戦前までは日本全国で通じる言葉だったそうですが、アメリカからブロイラーが入ってきてからは、主に西日本でしか使われなくなったとか。そしていつしか和鶏に限らず、鶏肉一般の名称として広まったのですね。
どうして地域が西日本のみに偏ったのかが謎ですが、食べ物の呼び名ひとつにしても歴史が感じられてとても面白いものです。 |