果てしないザンギの道のり |
■水巻睦子 |
■お子ちゃんの集中力ってスゴイ
友人の家に遊びに行くと、テレビの前に張り付いている"お子ちゃん"が振り向いて、「機関車トーマス、一緒に見ようよー!」と誘ってくれた。そんなこんな、なんとも摩訶不思議なアニメーションを一緒に見るはめになる。
しかし子どもの集中力はすごい。小さな指でリモコンを押し、何度も同じシーンを繰り返し見ては大笑い。「食い入るように見る」とは、まさにこのことだ!と思いながら、機関車トーマスを見ず、私は"お子ちゃん"をぼんやりと観察していた。
さて、私はこんなに食い入るようにテレビを見ることがあるか?比較的、集中力の持続時間が短い私だが、"食い入るような"状況が私にもあった!食べ物の番組と、旅行番組だ。テレビの制作陣にまんまとのせられてるな、と思いながらも見てしまう。ジュウジュウと音をたて、湯気の立ち上る料理の数々。やはり焼き物はテレビで見ていると、胃が「食べたい!」と叫び出す。
一発でノックダウンされてしまうのが、肉を焼いているシーンだ。燃え上がる炎に、したたるアブラ。とっても野性的な、ターザン的な自分がいることに気づく(あれ?ターザンってもしかしたら菜食主義? じゃ、私の場合は肉食のターザンということで)。そういえば小さな頃、アニメ「ギャートルズ」を見て、真剣に「マンモスの肉が食べたい!」と母に訴えたことがあった…)。
■食い道楽魂が燃え上がる!あぁ、北海道に行きたい!
最近、テレビを見て「あぁ、北海道に行きたい!」と悶絶し、北海道の友人に「いつか絶対、遊びに行く!その時はおいしい食事処へ案内しろ!(←命令形)」と速攻でメール。急ぎでメールするほどの内容でもないが、テレビで見た"ジンギスカン"がたまらなく旨そうだったのだ。「ラム肉はヘルシーでダイエット中でもいいんですよ!」のひと言もなんとも魅力的だ。
食い道楽に命を賭けている友人は「いいよー」と心優しい返信をした上で、さらにおもしろい情報を追加してくれていた。
大ブーム中の"ジンギスカン"だが、なんと"ザンギスカン"も存在するという。「ザンギ?ってなんだ???」。深夜に友人とメール交換が始まる。
■ザンギって名前の由来は?
「ザンギ」は、鶏の唐揚げを意味するそうだ。友人の解釈では 「"ザンギスカン"は、北海道では鶏の唐揚げをザンギというので、それにひっかけてラム肉の唐揚げをザンギ+ジンギスカン="ザンギスカン"にしたんじゃない?」という。
ラム肉はジンギスカンで、鶏肉はザンギスカン、ということか!「しかし、鶏の唐揚げをザンギと言うとは…。初めて知ったぞ」と返信すると、これまた丁寧にザンギに関するHPアドレスまで記して、ザンギ講座が始まった。
友人が教えてくれたHPを早速チェックしてみた。 |
釧路発祥の地と言われる「ザンギ」、そもそもザンギって?
ザンギとは北海道では「鳥のから揚げ」のかわりに居酒屋やコンビニ等で見かけることが出来ます。
鳥のから揚げとは別物で味付けも若干違うと言われていますが、明確な違いは見当たりません。
でも釧路市内のザンギ専門店だと、その店独自のザンギ専用のタレがあるんです!
釧路市内にはザンギ専門店が2件あり、ザンギにタレをつけて食べるようになっています。
他では食べる事の出来ない本場のザンギ、未知なる世界、味わってみませんか? |
(http://www.kushiro-kankou.or.jp/mikaku/i05.htmlより) |
なんだ、なんだ、めちゃくちゃ奥の深い世界に足を踏み入れてきた感じ。
さらに、もう一つのHPもチェックする私。 |
北海道の人はザンギと言えば、とりのからあげ、とすぐに連想します。だから、北海道弁だべさ、ということになるかと思えば、そうでもないようです。
もともとは、中国語の「炸鶏」(ザーチー)がなまったもの、同じく中国語の「炸子鶏」(ザーツゥチー)がなまったもの、またまた同じく中国語の「揚鳥」(ジャージー)がなまったもの(ジャージーは鳥をザンギリにして揚げたもの)、ザンギリにするからザンギになったとも考えられるとのことだそうです。
また、山形県でもザンギという言葉が使われる事もあるらしく、ここでのザンギの意味は「一口大に切った鶏肉のから揚げ」とのことで、上のジャージー説は当てはまらない、ようです。それから、愛媛県の一部ではおもに老人層において「センザンギ」と呼んでいるらしいです。 |
(http://homepage2.nifty.com/osiete/s571.htmより) |
■あぁ、熱いザンギ説がてんこもり!
さまざまな説があり、そして定説はない様子、とのこと。
仏教用語の「慚愧」(ざんぎ)説、ちょんまげを切ったざんぎり頭説、今治地区では、肉を小さく切ることか千斬切(せんざんき)説などなど。
少し前まで「かしわ」が日本中で使われている言葉だと思っていた私には、「ザンギ」という呼び名はかなりのカルチャーショック。
北海道の人は、タコの唐揚げを「タコザンギ」って言うらしい。
えぇ、ほんとなの???
延々、友人とのメールのやりとりが続く。
ここにきて"実感"が必要だと思う私。さぁ、働いて、旅費を貯めよう。そして、北海道に行って「ザンギ」の"実感"を!いつか「ザンギ」の味を口中で感じながら、「ザンギってすげー!」って言いたい。 |