スーパーでも焼き鳥屋などでもさまざまな<地鶏>の銘柄を目にします。 いや地鶏が氾濫していると言っていいでしょう。では<地鶏>とはどのような鶏なのでしょう。
「地鶏」をとりあえず定義すれば古来より日本にいたといわれる品種、または明治時代までに日本人が外来種と掛け合わせて作り出した鶏(日本鶏)とされています。 ただ、その多くが天然記念物のためそのまま食べることはできません。このため、日本鶏の血統が50%以上入った交配種を地鶏として食用にしているのです。 また、日本鶏の血統を使っても50%以下のものを「銘柄鶏」と分類しています。
農水省の規定を見ると、加工食品、林産物等の品質規格であるJASの対象品目に「地鶏」が入っています。内容は飼育期間は80日以上、生後28日以降は平飼い、1平方メートル10羽以下の飼育密度であることなどが定められています。
※平飼い:鶏舎内、又は屋外において、鶏が床面又は地面を自由に運動出来るようにして、飼育する飼育方法。平飼いのうち、日中屋外において飼育する飼育方法を放飼いといいます。
地鶏のベースになる、古来より続いた血統を持つ鶏を在来種といいます。正確には明治時代までに国内で成立、導入され定着した鶏の品種のことです。 在来種を3つに分けて紹介しておきましょう。
文化財保護法により天然記念物に指定された日本鶏とその系統で、次の2 0種があります。
「伊勢地鶏」
「岐阜地鶏」
「土佐地鶏」
「岩手地鶏」
「芝鶏(しばっとり)」
「鶉矮鶏(うずらちゃぼ)」
「比内鶏」
「地頭鶏(じとっこ)」
「河内奴(かわちやっこ)鶏」
「小国(しょうこく)鶏」
「蓑曳矮鶏(みのひきちゃぼ)」
「声良(こえよし)鶏」
「東天紅鶏」
「蜀鶏(とうまる)」
「蓑曳(みのひき)鶏」
「薩摩鶏」
「黒柏鶏」
「軍鶏(しゃも)」
「矮鶏(ちゃぼ)」
「烏骨鶏(うこっけい)」
天然記念物以外の日本鶏で、次の16種類。
「会津地鶏」
「インギー鶏」
「ウタイチャーン」
「エーコク」
「沖縄髭(ひげ)地鶏」
「尾長鶏」
「雁鶏」
「熊本種」
「久連子(くれこ)鶏」
「コーチン」
「佐渡髭(ひげ)地鶏」
「土佐久斤(くきん)」
「対馬地鶏」
「名古屋種」
「三河種」
「宮地鶏」
「横斑プリマスロック」
「ロードアイランドレッド」
となり、この在来種の名前が地鶏の銘柄として一般に普及していると言っていいでしょう。
地鶏肉の表示についての基準 は下記の通りです。
表示内容:
1. 品名
2. 組合せ
3. 飼育期間
4. 飼育方法
5. 内容量
6. 消費期限
7. 保存方法
8. 生産者の氏名又は名称及び住所など
追補※「銘柄鶏」について 「銘柄鶏」とは、両親が地鶏に比べ増体に優れた肉専用種で、素びなの羽色が褐色系のもの。通常、「赤どり」といわれるものと「ブロイラー」といわれる通常の若どり(チキン)がある。
どちらも親の鶏種(赤どり:シェーバーレッドブロ、レッドコーニッシュ、レッドプリマスロック、プレノアール等ブロイラー:ホワイトコーニッシュ、ホワイトロック等)や、工夫をこらした飼育方法(飼料内容、出荷日令等)を明確にした表示を食鳥処理場の出荷段階パッケージ等に行ったものです。当然、小売段階においてもこれに準じた一定の表示をしています。