焼きについて|焼き鳥と調理技術|焼き鳥の知識&レシピ

焼き鳥の調理技術

炭の歴史

 人類が炭を使ったのは石器時代前期といわれています。
 日本では奈良時代に使用されていたらしく、東大寺の大仏鋳造にも使用されていた記録が残っています。そして、炭焼きの基本的な技術は平安時代にはほぼ完成したと言われています。 室町期、茶の湯が起こり、隆盛になるに及んで、炭の質は飛躍的に向上し、現在に近い形にまでなりました。

炭の種類

 炭には「白炭」と「黒炭」があり、その違いは製法にあって、炭化の温度と仕上げ方が異なり、見ためにも違いがあります。

白炭

 「白炭」は炭焼きの仕上げ段階で窯口から空気を徐々に送り窯内を1000度の高温にします。そして白熱した木炭を窯外に引き出し、灰と土を混ぜて湿気を含ませた消粉をかぷせ、すばやく冷却して作ります。
  「白炭」は高温で均一に炭化するため硬く、叩くと金属音がします。また樹皮がほとんど焼け落ち、表面に灰がついて白っぽいことから白炭と呼ばれているのです。白炭の代表的なものが「備長炭」です。

黒炭

 「黒炭」は炭化温度も400度〜700度と低温です。そのまま窯内で密閉してゆっくり冷却させて作られます。「黒炭」には炭化した樹皮がついていて色も黒、割れ目が多いのが特徴です。 茶道用の炭として用いられるのはこの黒炭です。

炭の特製と利用

 このようにして作られる炭は原木と同様に、縦横に孔の多い構造(多孔体)をしています。そのため内部表面積が1gあたり約300センチメートルと大きいので吸着力があり、通気性、保水性、透水性に富んでいるのです。 この性質によって、土壌内に炭をいれると、炭の孔に有効菌が入って微生物が繁殖し、土中に空気や水を持ち込んで健全な土壌を作ります。また悪臭や水分も吸着するので、調湿、浄化、鮮度保持などの効果があります。 熱源としては、石炭や石油と異なり有効成分を出さないこと、腐らず発火しにくい安全な燃料であることがあげられます。 また、木炭には2〜3%の灰分(ミネラル)があり、これを土壌や飼料に供給することで、農作物や畜産に有効利用する事が出来ます さらに、高温で焼かれた炭は、グラファイト構造という電気を伝えやすい構造となるため、電波を遮断する建築材としても使われています。

備長炭の研究

備長炭その名前の由来

 炭と言えば、備長炭。そもそも備長炭は馬目樫(ウバメガシ)を原木とした硬度15度以上の白炭の代表格。語源は江戸時代、紀州の商人、備中屋長左ェ衛門が考案、販売したことによります。

その製造法

  1. 焼き方は窯の中に空気を入れないようにして、ゆっくり日にちをかけ温度を上げていきます。
  2. 完全に炭化したところで窯のふたを開け、空気を入れて行き、さらに温度を上げ1000度以上に。この時、表面の皮が燃え落ち、木の中に残っている揮発性のガスが外に出て燃えます。
  3. 次に、その高温の炭を4〜5メートルの鉄のカギ棒で引きづり出し灰と砂に水を含ませた土をかけ、急激に温度を下げ冷やすのです。

なぜ備長炭で焼くとおいしく焼けるか。

 備長炭の表面が白いのは灰がついているためです。備長炭は非常に長時間燃え続けます。また、ふつうの炭と違い、炎がほとんど無く、炭自体が発熱して燃えるため遠赤外線が非常に多く出ます。
  遠赤外線の特長は焼く材料の表面だけでなく、中の方へ熱が入っていくため強い火で焼いても表面が、焦げずに早く焼けるのです。また短時間で焼け、材料のうま味や水分を逃がさず美味しく柔らかく焼く事が出来ます。さらに炎が出ないため黒こげになりにくく、風味を出し、苦味がでません。
  ガスなどで焼いた場合は火を強くすると表面が焦げ、中は生の状態が残り、火を弱くすると今度はうま味や水分が出てしまい堅くなったりするのです。

備長炭使用法

着火法と火の管理

 備長炭は、非常に火が着きにくい炭です。ガスの上で弱火で15分〜20分ぐらい真っ赤になるまで焼きます。この時、芯まで真っ赤にしないとコンロに入れてから消えてしまうことがあります。また、1本や2本では消えるので5本以上一度にやったほうがいいでしょう。 大きなコンロを使う時は真っ赤になった炭をまとめて置きます。空気が入りやすい様にならべずにビラミッドまたは井型に組むとよいでしょう。その上に黒い炭を必要分置きます。そして30−40分すると全体に火が着いてきます。
  そこでコンロ全体に広げるとよいでしょう。 ただし横に広げ過ぎぬように注意をして下さい。炭の節約は出来るだけ横に広げずに、高さに多く使い、火を強くする方が良いのです。強い火で素早く炊き上げるのが、効率的かつおいしく焼く秘訣です。火加減は炭の量、特に高さを調節する事で大きく変わります。
  備長炭は季節や色々な条件で いつも同じ物ではありません。 温度が上がり過ぎて炎が出る時は、下から空気が入りにくいように横にきっちり詰めて並べます。逆に温度が上がらない時は炭にすき間を開けるようにして空気を十分に入れることが肝心です。

備長炭で焼く

 通常は早く火が通るので焼き過ぎに注意することです。
また、特に脂分の多い食材の時は 炭の高さの低い場所を使います。そしてタレの燃えかすなどで 炭が黒くなった時は炭を裏返すようにしましょう。
  脂などが落ち、炎が出たり、異常に温度が上がり過ぎた時は、水または氷をかけるとよいでしょう。少々かけても備長炭は消えません。
  30分に一度ぐらいは、炭を触って灰を落とし炭を縦ぎ足します。急いで炭を追加して火を大きくしたい時は、黒い炭を下にしき上に赤い炭を置いて下さい。

備長炭は弾く(爆発する)

 備長炭を黒炭のように扱うと、急にはじけ飛び散ることがあります。
  備長炭のはじける理由は炭の中の水分が着火時の急激な加熱で 水蒸気になり、炭を破壊して外に出るためです。絶対に弾かない備長炭は作れませんから注意が必要です。
  焼き鳥屋さん等カウンターの中でお客様の目の前で焼かれる場合は耐熱ガラスで出来れば三方下から上まで覆った方がいいでしょう。
  なお、焼き肉屋さん等テーブルの上で炭を使われる時は、絶対に弾いても良い場所で火を完全につけてから使うことです。追加の時も火の着いた炭を使用することをすすめます。

弾きにくくする

 ガスで着火するときは火を短くして弱火でゆっくり火をつけることです。追加する炭は火のそばに置き、温めて水分をぬきましょう。強く燃えている炭の上に置かずに横に置きゆっくりと火をつけます。 俗に炭を洗って使うと言いますが、確かに水に濡れているとゆっくりと温度が上がりますが、やはり水分によって弾く事がありますのですすめられません。 保管の時は臭いを吸う事があるので臭いや湿気のない場所におくよう心がけましょう。